なのはなユニオンニュース

2025年11月29日 No.325号

更新

全国ユニオン厚生労働省交渉

4割の賃金では生活できない!

休業手当計算式見直しは、またゼロ回答

2025年秋の厚生労働省交渉の概要

 10月30日に行われた厚生労働省交渉で全国ユニオンは5項目を要請した。それは、①労働基準法関係(1)フリーシフト (2)休業手当の計算方法、②スキマバイト、③無期転換権をはく奪する「第二種計画認定」の取消、④企業が支給する「就職祝金」を社会・労働保険の算定根拠となる「賃金」としない問題、⑤高年齢者雇用安定法――である。
 そのうちの①(2)の「休業手当の計算方法」についてのみ報告する。これは、毎回要請している内容であるが、今回も「ゼロ回答」であった。
 休業手当は、使用者都合による休業の場合に支払われることが労働基準法26条に定められている。その計算方法は、直近3カ月に支払われた賃金の総額を暦日(約90日)で割って1日あたりの平均賃金を求めるものだが、支払われるのは就労すべき日数に対してだけ平均賃金の6割以上である。何が問題であるかというと、平均賃金は3か月分の賃金を暦日(休日を含む)で割って算出するのに対し、支払われるのは休日を除いた就労日だけ。これだと約4割しかもらえない計算になる。
「暦日で割って1日あたり平均賃金を出しているのだから、就労日だけでなく暦日分支払われないと生活ができない」、「就労日分しか支払われないなら、平均賃金を算出するときも暦日ではなく就労日で割って1日分を出すべきである」、「法律を改正しなくても、政令・省令の変更で対応できるはずだ」「この件はコロナ禍の休業時に問題になり、それ以降、継続要求になっている。検討しますとの回答を毎回いただいているが、検討はされているのか」など、強く求めたが、厚労省から前向きな回答は今回もなかった。他の項目についても成果はなかったが、春・秋2回の貴重な機会なので粘り強く要請を行っていこう。

10月31日国賠訴訟判決・東京地裁前

2025年11月13日 全日建連帯労組開催

関西生コン事件
国賠訴訟一審判決報告会

「想像を超える不当判決」に虚を突かれる
2018年7月から2019年11月にかけて、全日建関西生コン支部(関生支部)がストライキやビラ配りなどの組合活動をしたことを理由に、委員長をはじめ組合員の延べ81名が逮捕され、66名が起訴された。いわゆる「関西生コン事件」である。警察および検察は、組合が経営側に労働法令を遵守するよう求めた活動を「恐喝」、労組法を守らない経営側に抗議した行為を「強要」、ストライキを「威力業務妨害」、そして労働組合そのものを「組織犯罪集団」と言い換えた。当然ながら、その後の裁判においては無罪判決が相次ぎ、現時点で4件延べ12名の無罪が確定している。
2020年3月、関生支部は国および3府県に対して「やられっぱなしの状況に突破口を開こうと」国家賠償訴訟の提訴に踏みきった。警察官、検察官および裁判官による違法な行為があったと主張し、損害賠償を請求したのである。
しかし、2025年10月31日の東京地裁における一審判決は「原告らの請求を棄却する」という組合側の全面敗訴だった。

争点1

警察官や検察官による組合脱退勧奨発言の違法性
組合員に対する「これからも組合員を続けていくというのが、本当にそれでいいのか」「どんどん組合を削っていく」「組合をやめるというまで気長に待つ」等の発言について、裁判所は「社会通念上許容される範囲を逸脱した取調べであるとは認められない」とした。

争点2

組合委員長に対する長期勾留の違法性
委員長は事件の細分化によって8回逮捕され、勾留期間は644日間におよんだ。裁判所は「通算すると長期になったからといって、ただちに違法なものということはできない」とした。

争点3

組合副委員長に対する保釈条件として、検察官が「組合事務所への立入りおよび組合員との面談禁止」を付すよう申請したことの違法性
裁判所は「検察官は条件を付すよう申請したのではなく、単に意見を述べたにすぎない」とした。

組合弁護団は「脱退勧奨などの一部については当然勝てるのではないかと予想していた」ものの、「想像を超える不当判決」に虚を突かれたという。

全労協の事務局長は「産別労組に対する弾圧は国家権力の意思だ。判決はどうあれ、逮捕・勾留による弾圧こそが目的であったのだろう」と指摘した。NHKの「クローズアップ現代」(11月10日放送)において報道された元警察官の証言(「関生支部を潰すことが目的だった」「逮捕の後、関生支部の活動が限定的になったのは間違いない。結果としてよかった」)は、それを裏付けている。

安倍政権末期における労働組合弾圧の真の目的はわからない。しかし、安倍政治の継承者を自任する高市政権は、その路線を踏襲するのかも知れない。

三橋 幸司


スキマバイトシリーズ4

厚生労働省「スポットワークの指針」を提示 

 この連載を通して「スキマバイト」(以降「スポットワーク」という)の問題点を指摘してきた間に、国の動きが見られた。これまで単発や1回限りで短時間の仕事ができる、いわゆる「スポットワーク」という働き方が注目され、サービス登録数も大手4社だけで重複も含め約3,700万人(2025年7月時点)にも達しているが、それまでの間に何の対策もなされてこなかった。しかしながら、ようやく厚労省が今年7月にいわゆる「スポットワーク」を利用する労働者の労働条件の確保等について(基発0704第3号、職発0704第2号、雇均発0704第1号)の文書を各都道府県労働局長宛に通達し、国としての見解を初めて示した。その主な内容は①労働契約の成立時期について、②休業手当について、③賃金及び労働時間についての3点である。

スポットワークの労働契約は原則マ ッチング時に成立
無期限の利用停止はダメ(仕事に来なかったことなどを理由に、アプリ業者が働き手を無期限利用停止にすることはできない)

 ①労働契約の成立の時期については、従来であれば、主なアプリ事業者は、実際に働く直前まで労働契約は成立しないと主張していた。そのため、スキマバイトに従事するための通勤時に交通事故などに遭った場合でも労災として認められないという問題が発生していた。この問題に対し、厚労省は労働契約について労使で特段の合意がない場合、使用者側である事業主が掲載した求人に労働者が応募した時点で労使双方の合意があったものとして労働契約が成立するものと一般的には考えられるので、通勤途中の怪我は労災として認められるとの見解を初めて明示した。

 ②休業手当については、企業側の都合でキャンセルされた場合に、本来スキマバイトに従事する予定であった者が支払われる予定であった賃金の補償が全くなく、泣き寝入りせざるを得ないという問題が起きていた。この問題に対して、厚労省は労働契約成立後に事業主の都合で丸1日の休業または仕事の早上がりをさせることになった場合は、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」となるので、労働者に対し、所定支払日までに休業手当を支払う必要があるとの見解を明示した。実際には個別の事案毎にキャンセルが正当かどうか判断されるが、スキマバイトに従事する24時間前まででも一方的に仕事を失った場合は、賃金を受け取れる可能性がある。

 ③賃金及び労働時間についてでは、早上がりなどにより、契約時の労働時間と実際に従事した労働時間が異なり、予定していた賃金が支払われないという問題が生じていた。この問題に対して厚労省は、賃金は労働者の生活の糧であることを踏まえ、予定していた労働時間と異なる実際の労働時間による修正の承認申請が労働者からなされた場合は、事業主は予定された労働時間に基づき勤務した賃金を遅滞なく支払うとともに、予定の労働時間と異なる時間については、速やかに確認し、労働時間を確定することとの見解を明示した。その他にも、労働者のいわゆるドタキャン(24時間前以降)について事業者がペナルティーを科すことも禁止した。

 この間、全国ユニオンとともに厚生労働省交渉などで問題提起してきたスキマバイト問題が、ほんの少し動き出した。そうであっても、複数の雇用仲介アプリを用いた場合に同じ企業で週40時間を超えて働くことができてしまうという問題、求人募集とマッチングした仕事の内容が違っている問題、などなど改善すべき課題や問題は残っている。スキマバイトが働く人に取って便利なツールであったとしても、細切れの働き方は雇用を不安定化させる。

スキマバイトで働く現場からもっともっと声をあげていく必要がある。


☆☆ おしらせ ☆☆

12月 6日 13時30分春闘セミナー スタンダード会議室
新宿GARDEN店3階
12月13日シニアユニオン大会
12月18日 15時30分首都圏幹事会
12月20日 18時なのはな執行委員会
 1月14日 18時30分全国ユニオン旗開き IKE・Biz 6階
 1月24日 17時
       18時30分
なのはな執行委員会 
なのはな新年会

なのはなトーク


参政党がさけぶ「日本人ファースト」は
労働者としての私達の意識を破壊するためのもの

 参議院選挙で参政党の神谷代表が「日本人ファースト」と叫び、若い労働者たちがこれに期待して投票しました。740万票をあつめました。私は、とても危険なことだと思います。

 この「日本人」と神谷氏が強調するのは、なぜかを考えたいと思います。

 この「日本人」というのは、単に地理的な意味で日本列島に住んでいる人という意味ではありません。‶特別な歴史をもち優秀な民族である日本人〟という意味を込めているものなのです。なぜなら、参政党が出した「創憲」案という名の新憲法案に、「日本の國體(=国体)」(これは戦争をやった天皇制権力をさす)は、‶天皇が悠久にわたって国を治め、国全体が家族のように助け合って暮らしている国である〟といっているからです。つまり、参政党が言う「日本人」とは、戦前の天皇制国家を「國體」と言って美化した、そういう国家の民族ということなのです。とんでもないことです。国家のために戦争できる「日本人」として私たちの意識を変えようという狙いがあると思います。

 そして、つぎのことがとても重要なことです。というのは、参政党はこの日本の地に住む人々を「日本人」という丸ごと一つのもの、「家族のような」人々といいます。けれども、私達は労働者として労働組合をつくり資本家による搾取や抑圧に抗してたちむかっています。つまり、日本列島に住む人々は資本家たちと労働者たちとにわかれているのです。これは経験している現実です。だから、労働者として私たちは資本家たちによって搾り取られているからこそ、現に格差が拡大し、失業においこまれもするのです。

 こういうことをみれば、参政党がなぜこれほど「日本人」こそ第一に尊重しろというのかがわかります。つまり、参政党は資本家たちと労働者たちとが対立している現実を隠し、労働者として団結している私たちの意識をこわすためにこそ、「日本人」と叫んでいることがわかると思います。このことをみぬくことが今とても重要だと思います。「日本人」という考え方は、私達労働者に「自分は日本人だ」という意識を植え付け、「私たちは、労働者だ、俺たちは労働者として団結しよう」という意識をうばいとることを狙うきわめて危険な考え方だ、と私は思います。(井藤)